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テレビを見るとバカになるか

皆さんは小学生時代、先生に「バカになるからテレビは見るな!」とよく言われませんでしたか? これは本当のことなのでしょうか?

私の大学院時代の経験をもとにお話しします。

私が所属した大学院は非常に厳しい世界でした。何らかの発表をするにあたって発表者は一分の隙も許されず、発表者と聞き手の間では活発な議論が要求され、互いに少しでも隙があれば容赦のない攻撃が徹底的に行われる世界でした。

そのような日々の中で次のような発見をしました。発表の準備に手間をとられていると当然テレビを見る暇もないのですが、それを見ない期間が長ければ長いほど論戦での調子がよいのです。そしてその調子の良さは一晩テレビを見て過ごした途端切れ味を失ってしまい、翌日の議論では防戦一方となってしまうのです。

体験的に「テレビを見るとバカになる」ことを実感したわけですが、このことは次のように分析できると思います。分かりやすくするために、「テレビ」と「読書」を対比するかたちをとることにします。

テレビは、理解しやすい情報が簡単に発信される媒体です。画面には映像があり、スピーカーからは音がでて、大して頭を使わなくても発信される情報をそのまま理解できます。

これに対し、読書は理解しにくい情報が発信される媒体です。紙に印刷された文字は、それ単体では単なる記号の羅列です。記号の羅列が組み合わさることにより単語や助詞などが生まれ、それらが組み合わさることにより文脈が発生します。文脈をもとに読み手は頭の中で様々な情景を想像し、本の内容を理解します。

つまり、読書には単なる記号の羅列を咀嚼し、その意味するところを想像する作業が必要となるのです。対してテレビは最初から分かりやすい映像や音を提供してくれるため、これらの作業は必要となりません。結果、脳は怠けてしまいバカになるわけです。

私は、テレビ漬けの脳を「受動的な脳」、情報を咀嚼して消化する脳を「能動的な脳」と呼んでいるのですが、「能動的な脳」でいる方が、仕事においても日常生活においてもとても快適です。

「能動的な脳」であるためにどうすればよいか、答えは簡単で「テレビ断ち」をしてみるのです。普段テレビを見ることが習慣付いている人が「テレビ断ち」を始めると、ほどなく体の奥がムズムズし出してテレビを見たくなってきます。そこをグッと我慢して読書や運動、会話などにエネルギーを使ってみましょう。体の奥のムズムズがピリピリと神経系統を通して体の末端まで広がり、己の五感が刺激を求めて次第に鋭敏になっていくのを感じることでしょう。

「テレビ断ち」が人間の感覚を鋭敏にすることについては、人間の心の基本的な指向性、武道家や宗教家が行う山籠もりなどの修行方法などとからめると面白い分析ができるのですが、それはまた別稿で。


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Posted at 07/05/21 17:05 | Edit

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